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2013.5.17 All, kotobaworks

これからの社会で生き抜く人材になるために ~十津川人魂に学ぶ~

近年、日本は政治的混乱や経済の疲弊などによって国際社会におけるプレゼンスが低下している。人口も少子高齢化により減少の道を進み始め、多くの企業が経営難にさらされ、日本人が今までロールモデルとしてきた生活は崩壊を始めているのだ。

 

もはや日本国内だけを見て、いわゆる大企業に勤めれば成功者であるという時代は幻想でしかなく、自ら考え、実践できる人間にならなければいけない時代になっている。

 

そんなこれからの社会を逞しく生きる人間に必要なのは何だろうか。

技術だろうか。人脈だろうか。資金だろうか。

 

いやいや、どれも大事だが本質ではない。

 

どのように生きていくかという根源的な「魂」こそ最も必要なのではないだろうか。

 

ではどのような魂が現代社会において成功のカギを握り、私たちを旧態依然とした世界から解き放ってくれるのか。

 

奈良に十津川村という秘境がある。奈良最南端の山間部に位置し、実に96%が山林であるために田んぼも満足に作れず、大規模な畑も耕せない。今でこそ、道路は通り、インターネットだって繋がる。だが、昔はどうだったろう。生活することで精いっぱいの土地だったに違いない。

 

それでも十津川に暮らす人々は、階級としては農民でしかなかったにもかかわらず、南北朝の時代から天皇の守護を務めていた。十津川の周囲の山々は修験道でもあるほど険しいもので、天皇の坐す京都にたどり着くためにはどれほど大変だったろうか。江戸時代には大阪の役での活躍から郷士と名乗ることを許され、明治維新後、彼らは士族となった。

 

明治には大水害が十津川を襲った。その水害によって多くの住民は移住を決意し、なんと北海道まで2000人以上が集団移住を行った。彼らは新十津川村を作り、今現在でも十津川村との交流は続いている。

 

そして今、2011年の台風12号の災害によって十津川は大きく苦しんでいる。1か月もの間他地域への唯一の交通路である道路が土砂崩れによって封鎖され、完全な陸の孤島と化すほどにその被害はすさまじかった。

 

現在でも復興作業は行われており、すべてが終わるまでに10年はかかるだろうとも、10年かけても完全に元通りにはならないとも言われている。

 

それでも十津川の人々は下を向かないのである。起こってしまったのだから仕方がないと、みんなで頑張ればいいじゃないかと、悲観することなく前を向いているのだ。

 

「質実剛健、一致団結、不撓不屈」

 

十津川の人たちはこれこそが「十津川人魂」だと言う。自分たちはそういう風に想って生きてきたと、だから諦めないんだと。

 

何があっても諦めず、仲間とともに困難に立ち向かっていく、そんな姿勢は今まさに日本で必要とされている「アントレプレナーシップ魂」そのものではないか。

 

確かに、これからの国際社会で活躍する人間には英語力や高いビジネススキルも重要だ。

だが本当に必要なのは「十津川人魂」を持ち、自ら進み、困難に負けない人間になることなのではないだろうか。

 

担当 大浦